鉄腕アトムは、日本人なら誰でも知っていますが、
実際にアニメや漫画を見た人は意外と少ないはずです。
(写真は、鉄腕アトム第1巻の表紙。)
そもそもどうやってアトムが誕生したのか、
どうやってアトムが漫画の中でヒーローとなっていったのか、
知る人はあまりいないでしょう。
思いっきりネタバレしますが、
ここで、簡単に「鉄腕アトムができるまで」を紹介します。
知らないこともたくさんあるはずです。
1、最初の漫画のタイトルは「鉄腕アトム」ではなく、「アトム大使」だった
なんで「大使」なのかは、「アトム大使」の最後の方でわかります。
2、天馬博士のトビオという息子がアトムの原型
これは知っている人も多いはずですが、
愛息を失った天馬博士が、科学技術の総力を結集して、
息子に似たロボットを作ったのが、アトム誕生のきっかけです。
3、アトムが「成長しない」ことを理由に、天馬博士はアトムをサーカス団の団長に売却
当たり前ですがロボットは成長しません。
しかしそれを理由に、天馬博士はなんとアトムを
サーカス団に売り飛ばしてしまいます。
4、アトムはサーカス団のロボットショーの団員として、活動していた
アトムはサーカスのロボットショーで使われていました。
とても地味な存在でした。
ここまでが、アトム史の序盤です。
なんともかわいそうです。。。
そして、ここから物語は始まります。(ここからもろネタバレです)
1、宇宙人たちは、自分たちの惑星が爆発を起こし、宇宙に漂流していたところ、
自分たちと瓜二つの地球人が住む地球に流れ着く。
宇宙には地球と同じような惑星が何個もあり、
その一つが地球に流れ着いたという設定です。
一人一人容姿、性格共にそっくりですが、唯一の違いは、
「宇宙人の方が耳が大きい」ことです。
2、話し合いの末、一緒に住むことになり、仲良く暮らしていたが、
急に人口が増えてしまい、宇宙人をよく思わない地球人が出てきた。
食べるものや住む場所が不足し始めると、不平不満を言う人がでてきました。
3、天馬博士は、秘薬を開発し、密かに宇宙人狩りを始めた。
この秘薬は、人を殺すのではなく、体を小さくしてしまう効果があるところが、
なんか面白いです。
これで、食料不足や住居不足を解消できるようです。
4、お茶ノ水博士は、宇宙人狩りの首謀者が天馬博士であることを突き止め、
やめるよう説得するが、逆に捕らえられて、牢屋に入れられてしまう。
ここがポイントです。
「牢屋に入れられたお茶ノ水博士とサーカス団の団長の会話」を以下引用します。
お茶ノ水博士「うむ、よわった。なんとか助かる道はないかな」
団長「一つあります!アトムの力を借りるんです。」
団長「アトムは地球人でも宇宙人でもない。だからふたつをうまくおさめることができる」
団長「アトムを全権大使として宇宙人のところへやりましょう。」
(写真は、その会話のコマ1。)
(写真は、その会話のコマ2。)
ここでやっとアトムの存在意義が出てきます。
地球人と宇宙人の戦争を唯一止めることができる「平和大使」の役目こそ、
アトムしかできなかったことなのです。
「サーカス団の団員」から、「平和大使」へと急昇級!
5、宇宙人は、地球人に対抗すべく、南極に拠点を移して、地球人の壊滅作戦を実行しようとしていた。
宇宙人は、「48時間以内に地球を明け渡さないと、地球上が全て煙になる」
と脅してきます。
今度は、地球人がピンチとなります。
6、作戦実行直前に、アトムが宇宙人のいる南極に到着し、地球人と宇宙人が共存できる案を提案する。
アトムが宇宙人のもとへ到着し、
「地球人と宇宙人を半分ずつ、金星に移住させる」ことを提案します。
両方半分ずつと、公平に聞こえますが、元から住んでいた地球人からすると、
若干譲歩した感じが否めません(笑)。
宇宙人は提案に納得したものの、誠意を見せて欲しいとさらに迫ります。
そして、アトムはなんと「自分の頭」を誠意として宇宙人にあげます。
(写真は、そのシーンをモチーフにしたフィギア。)
こうして、アトムによって、この問題が解決され、
ようやく「鉄腕アトム」のタイトルで漫画が連載されました。
最後に、「手塚治虫 THE BEST(集英社)」1巻の
裏表紙に書いてある、手塚治虫氏のコメントをシェアします。
「世の中で、なにがいちばんみじめかといって、
戦争ほどみじめなものはない。
戦争とは、かっこいい兵器がでてきて、いさましい突撃があって、
飛行機の決闘があって・・・・・・とワクワクする人がいる。
でも、ほんとうの戦争はそんなもんじゃない。
あなたのあたまの上にたまがおちてきて、
あなたがこっぱみじんになってあなたが死ぬのですよ。
それも戦争をする人しない人にかかわらず、だれでもしんでしまうのですよ。」
1巻に収められている作品は、
「1985への出発」、「ZEPHYRUS」、「モンモン山が泣いてるよ」、
「ゴッドファーザーの息子」、「紙の砦」、「空きっ腹のブルース」
ですが、全て、太平洋戦争に関する内容となっています。
(写真は、手塚治虫 THE BEST第1巻の表紙。)
戦争を中高校生時代に経験している手塚氏は、
漫画を通して、戦争の悲惨さ、残酷さを
わかりやすく、読者に訴えようとしています。
その希望の一つが、「アトム」だったのでしょう。
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