「タンゴダンスアジア選手権2022」を振り返る Vol.443

去年2021年に、このブログでアジア選手権に関する意見を述べて、早一年。

日本のタンゴについて、思うことや考えていることはたくさんあるのですが、個人的な環境の変化もあり、今年はブログの更新頻度が少なくなってしまっています。

これからは、しっかり時間を作って、色々発信していきたいと思っているので、ぜひともお付き合いください。


ということで、最近会う人会う人に、「今回の大会に関するブログを楽しみにしてるよ」と言われていたので、アジア選手権から二ヶ月弱経ってしまいましたが、ご期待に答えるべく、今回も「タンゴダンスアジア選手権2022」を振り返っていきたいと思います!

個人的な成績

今年のアジア選手権にも参加しました。

結果は、

Jack & Jill : 予選敗退

Pista Division:準決勝敗退

Stage Division:準決勝敗退

と去年よりも若干よかったものの、まだまだでした。

準備不足は言い訳なので、次回は今回よりも良い成績を出して、楽しみたいと思いました。

これまでの経緯

去年2021年にブログを中心に、アジア選手権に対する意見を発信して、色んな反響を頂きました。結局、2021年について、運営側からの返信は全くありませんでした。

運営が公正に行っていたなら、発表して、簡単に解決できる問題を、あえて触れずに、翌年のイベントを進めるという姿勢は、非常に残念というか、遺憾です。「不正があったことは明白」と言わざるを得ません。

そのため、運営側を信用できなくなりました。というか、実際は1〜数名によって構成されているので、運営というか、特定の個人に対して憤りを感じているだけです。

前回のブログで、「半年無視されている」と書いた後に、主催者が私にメールにて返信してきました。その時、「2022年は予選も含めて、全て審査結果を公表する」と言っていましたが、全く信用できませんでした。その後、2022年のアジア選手権のホームページが公表され、その中に、「予選の審査結果も発表する」という文章があったので、その時初めて、運営側も変わりつつあると、思い始めました。

しかし、「予選の結果を公表する」という文章は英語版のホームページには掲載されていなかったため、日本人だけに配慮した姑息なやり方に対して、新たな不信感が生まれてしまいました。

むしろ、日本語版・英語版それぞれのホームページに、たくさんの誤字脱字やルール自体の誤表記があり、目も当てられず、逆に心配になっていきました(笑)

という上記の前提で、以下、良かった点と改善点を挙げてみます。

結論を先に述べると、

<良い点>
1、国外のアジア勢に参加してもらうために、地道な努力を行った
2、予選・準決勝・決勝全ての結果を公表した
3、審査員が一新された
4、Jack & Jillを非公式で行った

<改善点>
1、アジアの審査員を日本以外のアジアから呼ぶ
2、公平なシード権のあり方
3、言語的なサポート
4、動画の自由な撮影・アップ

早速説明していきます。

良かった点

1、国外のアジア勢に参加してもらうために、地道な努力を行った


開催が決定されたあと、一番危惧していたのは、去年のような「日本選手権」になってしまわなか、ということでした。

日本人もしくは日本在住者だけの参加だと、どうしても盛り上がりに欠けます。しかし、いくら海外勢を呼び込みたいとしても、日本の水際対策に縛られてしまうために、海外から人を呼びにくいという状況はどうしようもできません。

しかし、昨年よりも状況が好転して、色んなスポーツで、国際大会が日本でも行うようになりました。前回の経験を踏まえて、政治家などに働きかけて、一定の条件を満たせば、日本到着後、隔離期間なして、自由に活動ができるようになりました。

PCR検査などのひと手間はかかりますが、これによって、日本に来やすくなったことは間違いありません。コミュニティーが小さすぎて、ロビー活動もろくに出来ない中で、色んなコネクションを活かして、このような対策を取ることができたのは、非常に素晴らしいと思っています。

2、予選・準決勝・決勝全ての結果を公表した

こちらは自分で約束したことをようやく自分で果たしたと言えるでしょう。ちゃんと調べていませんが、10年ぐらいかかったはずです。

審査結果を全て公表したという事実は、運営側の信用にも繋がったはずです。タブレットなどを使った審査システムが導入されましたが、思った以上に時間がかかっていたので、その辺がこれからの課題かと思います。

3、審査員が一新された

公式種目に関しては、2021年の審査員が2022年の審査に加わることはありませんでした。実は去年のブログでも、この点を指摘していました。

どういう基準で審査員を選んでいるかは、主催者のみが知ることですが、最終的にはブエノスアイレス市側の承認を得ているので、問題ないでしょう。改善点でも指摘しますが、次は日本以外のアジアから審査員をぜひ呼んで欲しいです。

4、Jack & Jill

「Muy Tango」という有志のグループで昨年2021年に開催してみた、Jack & Jill形式の大会が、他の大会でも開催され、さらに、アジア選手権でも非公式ではありますが、開催されていました。

新しい試みとして、実際にこういったことを行ったのは素晴らしいと思います。

審査に関しては、審査員4名(男女それぞれ2名)でしたが、必ずしもリーダーがリーダーだけ(フォロワーがフォロワーだけ)を評価しなくても良いかなと、個人的には思いました。2名の審査員で審査されるのは、誰を選ぶかで既に偏りが出てくる可能性があるので、それなら4名で加重平均するか、リーダーに対するリーダーの審査員の点数を割合を多くするか、などの偏りをつけて良いかもしれませんでした。

私も参加してみましたが、個人的に楽しめた企画でした。

改善点

1日目の土曜日は非公式種目のJack & Jillの大会がありました。

自分も主催したことがあるので、どのように開催されるか興味深く、参加してみました。

運よく?、予選で2回も踊ることになって、いろいろ大変でした。予選1回目のグループで、ステージ入り口の袖で、色んな説明があったのですが、後ろの彼(以後、K君)は、韓国から来たらしく、日本語が分からず困っていので、通訳してあげました。

それがきっかけで、仲良くなり、その2日間にアジアからの参加者としての想いを、色々聞くことができました。そこからの気づきをシェアしてみます。

1、アジア選手権側の審査員をアジアから呼ぶ

色々話していると、審査員についての話になりました。K君曰く、

「今回の審査員は、アルゼンチン人2名に、日本人6名。これで公平にアジア人を評価できるとは思えない。」

正論でした。

しかも今回はアルゼンチンから来たアルゼンチン人は1名で、もう一人は日本在住のアルゼンチン人。本来はもう一人アルゼンチン人(合計3名)が審査員でしたが、諸事情により欠席。しかし、彼女も日本在住。そして、他の審査員は全員日本人で、全員日本在住。

いくら公平な審査を心掛けたところで、多少の色眼鏡や先入観が入ってしまう可能性は否めません。

素晴らしいダンサーや審査員は日本だけではなく、アジアにもたくさんいます。アルゼンチン人を審査員として、アルゼンチンから読んでいるのなら、アジアから審査員のアジア人を呼ぶのは至極普通な流れだと思います。

折角「アジア」選手権と言っているのだから、ダンサーをアジアから呼んでいるのに、審査員をアジアから呼ばない理由がないと思います。

ご存知ない方が99%だと思いますが、ホームページにこんな記載があります。

1)アジア選手権の審査員は、アジア選手権実行委員会が選出し、アルゼンチン人審査員(アジア在住のアルゼンチン人を除く)及び、アジア人審査員で構成される。

「審査団、審査方法について」

財政的な理由もあるとは思いますが、来年はそこも考慮してもらえれば、本当の意味で、価値ある「アジア」選手権になると思います。

2、公平なシード権のあり方

K君はPista部門しか出てなかったようなので、パンフレットを見て、色が違うシードの存在に気づいたらしく、彼らは準決勝からであることを伝えると、「なんで彼らは準決勝からなの?」と聞かれました。

Chiqueの大会の事情を説明すると、K君はビックリというか、呆れていました。

私もChiqueの大会に全ての部門に参加して、とても楽しめましたが、この一点だけは腑に落ちませんでした。そして、このシード権を取り入れたアジア選手権の運営側に、深い憤りを覚えたので、運営側にメールで問い合わせていますが、この点に関しては、なんの返信もありません。過去から何も学ばずに、また同じことを繰り返す運営は、やはり信用できません。

シード権の経緯について、以下のような質問を投げかけています。これが全てです。こちらは4月25日にメールを送ってから、全く返信がありません。

アジア選手権は、そもそも公的な側面をもつ大会なのでしょうか?
世界選手権はブエノスアイレス市が主催しており、アジア選手権はその地区予選で、アジア選手権も公共性と有しているというのが私の認識です。
一方、チケの大会は、いちプライベートなスタジオが主催する大会で、その優勝者にアジア選手権の準決勝のシード権を与えるということは、アジア選手権とは、御社○○○○が主催する、プライベートな大会ということでしょうか?どのような経緯で、シード権を与えることが可能になったのでしょうか?
他の地域の大会も同じような性質かと思っていますが、私の知る限り、他の地域で、プライベートな小さな大会の優勝者にシード権を与えるというような事態は耳に入ってきておりません。
しかも、当時は日本国外からはほとんど参加できない状態だったと思いますが、その中で日本に在住している人に限定して、そのようなシード権を与えることを決めたときに、今年のアジア選手権が日本国外のアジアの人も参加してほしいと考えていたら、そのシード権が国外のアジアのダンサーに対して不公平だと考えなかったのでしょうか?

確証はもちろんありませんが、察するに、このシード権に関しては、ブエノスアイレス側の承認を取っていないと思います。取っているなら、ぜひ証拠を提示してもらいたいです。取っていないなら、ぜひともメールの質問に答えて欲しいです。こんな不公平な態度を取りながら、日本以外のアジアからダンサーに参加してほしいというのは虫がいい話じゃないでしょうか?

周りに聞いてみると、口には出せないものの、これが問題だと思っている人は、結構いました。

理由は、

「自由に声を上げにくい」

「周りの雰囲気に合わせないといけない」

「この発言をすると次回大会に参加する時に不公平に評価されるかもしれない」

からです。

この人たちのためにも、アジア選手権に今後参加したいアジア人のためにも、そしてアジア選手権やチケの大会のためにも、この点を改善点として取り上げてみました。

3、言語的なサポート

今回もコロナの影響でアジアからの参加者が少なかったのですが、一部の人が韓国から参加していました。私はコロナ前のアジア選手権に参加したことがないので、今までのことはよく知りませんが、去年や今年を見る限り、もう少し言語的なサポートがあってもいいかなと思いました。

大会の司会の方や、舞台裏で選手に説明する方が、彼らのことを思って、自主的に英語を使っていました。彼らがいなかったら、大会は成り立っていないと思います。決して完璧ではないのに、必要に応じて、英語で使っており、本当に素晴らしいと思いました。

4、動画の自由な撮影・アップ

大会中に「フラッシュなしの写真のみ可能で、動画は禁止」というアナウンスがありました。

この考えは本当に古い気がします。なぜ写真だけ?

今年2022年から始まるインドネシアの地区予選は、動画撮影を許可しています。理由はタンゴをもっと広めたいからです。ホームページ上に、それが明記されています。

他のアジアの大会も、個人があげた動画を見る機会があります。

さらに言えば、世界選手権も色んな人があげています。運営側が動画をあげているのを見たことがありません。

さらにさらに、世界選手権で、運営側が動画を撮るな、アップするなと、聞いたことがありません。むしろ、みんなで撮って、アップして、色んな人に見てもらって、「いつかブエノスアイレスに行ってみたい」と思ってもらった方がいいと思います。

ではなぜ、アジア選手権は動画撮影を禁止しているのでしょうか?考えられるのは、一つだけ。

「DVDにして販売して儲ける」ためです。でもこれ、時代遅れも甚だしい。

全ての動画を運営がアップするなら、まだ許せますが、そこまでのキャパがあるとは思えません。実際に、2021年は準決勝以上しかアップしていません。しかも全てではなく、ダイジェストのみです。予選の人たちは自分の動画を見る機会がないのに、動画を撮影するな、というはどういうことでしょうか?予選に参加した人が一番多いのに、なぜアップしない?アップしないなら、動画撮影を許可してほしい。

いつもはDVD(VHS?)にして売っていたと聞いていますが、令和の時代は、それではそこまでの収益は望めないでしょう。せめて、サブスクリプションだと思いますが、タンゴはそこまでの規模ではないです。

今のご時世にこんなこと禁止する必要があるのでしょうか。日本は「タンゴ後進国」と思われても仕方ないです。むしろ、色んな人にアップしてもらい、たくさんの人の目に触れた方が中長期的に考えて、プラスじゃないでしょうか?なんで近視眼的にしか、物事を見られないのでしょうか?

去年は大人しく言うことを聞いていましたが、馬鹿馬鹿しくなったので、今年は自分は二階から撮影していました。大会に参加していたので、全部撮っていませんが、少し撮りました。周りの人も撮っていました。一階で撮影していた人もたくさん見かけました。

実際にデモを踊っていた某先生たちは、生徒か誰かに撮影させたものをネット上にアップしていました。そんなこと許しておいて、参加者には撮るな、と言えるのでしょうか?

運営がそれに目を瞑って、見ないことにするぐらいなら、動画撮影を許可すべきです。

なので、少ないのですが、自分が撮影した動画を全てアップします。ただし、予選を含めた、全ての動画を運営がアップしたら、全て削除します。これは約束します。挑戦的な態度ですが、このぐらいやらないと変わりません。残念ですが、今年も去年と同じ事になると思います。

以上が、個人的な所感です。

まとめ

さらに厳しく言うと、これらの簡単な改善点を来年達成できないなら、主催者を変えるべきです。

でないと、日本以外のアジアのダンサーは、”アジア”選手権に魅力を感じず、別のアジアの大会にどんどん出ていくでしょう。個人的にも、アジアの友人には、今の”アジア”選手権を到底勧められません。

しかしながら、やりたいという他の会社がいなさそうなのは、事実で、おそらくここ2回は収益もトントンぐらいなので、他の案件を横流ししてくれるような取り計らいがないと難しいでしょう。

以上、厳しく色んなことをあげましたが、「より良いアジア選手権を目指して欲しい」という一点で書いています。

今回は2021年大惨事の教訓を生かして、少しずつよくなっているのは事実です。外からの色んなフィードバックが必要だと改めて思ったので、ご参考にしてもらえればと思いました。

また、このような提案をすることによって、新しい議論が生まれて、より良い解決策や、具体的な行動などに繋がっていけば、本望です。

主催者、参加者、観客など、色んな形で関わっている人がより良い大会のあり方を模索することで、日本のタンゴ界に良い雰囲気ができてくると思います。

今回の大会に全て参加しましたが、改めてみんながタンゴが好きで、楽しんでいることが分かりました。自分ももっとタンゴの良さを自分なりに広めていきたいです。

以上。

OpenSeaにて、タンゴ動画をNFT化してみました。

YouTubeでも、タンゴやアルゼンチンの情報を配信しています。