アルゼンチンが2020年に抱えるコロナより大きな問題、デフォルトと社会情勢の不安定 Vol.407

経済学者のクズネッツは、

「世界には4つの国がある。先進国と途上国と日本とアルゼンチンである」

と述べたことがあります。

 

資源が乏しかったために、勤勉に働き、工業化を進めて、

先進国になっていった日本と、

資源が豊富で、経済大国だったが、工業化が遅れて、

衰退の一途を辿ってきた、アルゼンチンは、

経済発展プロセスの両極端な例として、比較されてきました。

   

YouTubeでも同じような内容を紹介しています。

  

ここ数週間は特に、アルゼンチンペソの急落が著しく、

通称ブルーレート(非公式で、実際の経済を反映させたレート)は、

一ヶ月前のドル売りで、「85ペソ」でしたが、

今週なんと、「120ペソ」を記録しました。

ちなみに、ちょうど1年前の本日4月26日の市場レート(ドル売り)は、

「47ペソ」

でした。

ペソの価値が、「1年間で2分の1以下」になっているという、

凄まじいい状況が続いています。

日本にいたら、ちょっと考えられません。

 

もちろん、アルゼンチンでもコロナウィルスが感染拡大しているので、

コロナ対策も、毎日話し合われて、目まぐるしく動いているのですが、

同時に、もっと大きな問題、「デフォルト」に直面しています。

  

今回は

「もしアルゼンチンが2020年にデフォルトしたら、どうなっていくのか」

を考えてみます。

 

ちなみに、アルゼンチンは歴史的に見ても、デフォルトを繰り返してきた

「デフォルト大国」、「デフォルト王者」なので、

今でも、国際的な信用はほとんどありません。

なので、アルゼンチン国民自身も、政府を信用できない、という

悲しい結果になっています。

 

行き着いた極端な例の一つが、

「アルゼンチン100年債」であり、

そもそも100年後にアルゼンチンが存在しているのか、正直わかりません(笑)。

 


 

1、直近で起きていること

ここ数週間の経済動勢を少し話します。

4月16日に、政府は約688億ドルの債務再編案を発表し、債権者と

協議し始めました。

元々、4月22日に支払うべき国債の利払い分、約5億ドルを支払わずに、

支払猶予として1ヶ月利払いを伸ばす措置を予定していましたが、

支払う見通しが立たず、今回のような再編案を提案する形になったようです。

 

同日に、グスマン経済相は「現状アルゼンチンは何も支払えない状況」

と話しており、また、フェルナンデス大統領も、

「アルゼンチンはバーチャルなデフォルト(債務不履行)に直面している」

と話していることからも、デフォルトの可能性がかなり高まっているでしょう。

この案に対する民間の債権者との協議は、「5月8日」が期限となっています。

  

2、コロナウィルス対策による二重苦

アルゼンチンは3月20日より、コロナウィルス対策で、

ロックダウンを始めたので、今後の経済発展が全く期待できないどころか、

政府が企業や個人へ経済的な支援をしなければならないので、

さらに資金が必要となってきます。

 

現地調査会社「シノプシス」によると、

「新型コロナウィルスと経済情勢のどちらを心配するか」との設問に対し、

・3月下旬

新型コロナ:79.5%、経済情勢:16.2%

・4月中旬

新型コロナ:66.5%、経済情勢:27.1%

という回答になっており、経済情勢への懸念が増しています。

 

ペソ下落が続いて、慢性的なインフレで、物価が継続的に上昇し、

コロナで、経済が悪化し、失業者が増えているので、

ますます生活が苦しくなっています。

  

政府は、一時的に食品・飲料の価格凍結措置を行いましたが、

ペソの下落が続いているので、効果は限定的です。

 

3、今後起こりうること

では、「何が起きるか」考えてみました。

  • ・より激しいインフレ
  • ・中間層の貧困化
  • ・治安の悪化

が考えられます。

 

記憶に新しいのは、2001年の「Corralito(コラリート)」

と呼ばれる有名な事件です。

 

これは、2001年12月1日に、政府が

  • ・ペソ建て口座を凍結して、1年間ペソを引き出す額に制限を設けた
  • ・ドル建て口座は、ペソに交換する条件で、お金を引き出させた

という制度を発表しました。

その後、2001年12月末に、デフォルトを発表し、

2002年1月から、1ペソ・1ドルの固定相場制から、

変動相場制へと移行しました。

デフォルトにより、国債的信用は落ちたため、

変動相場制移行後、ペソは対ドルで継続的に下落していきました。

その結果、

口座にあるペソの価値が下落していくのに、

引き出せる金額に限度があり、国民が何も対処できない、

という事態が起き、

毎日銀行には、引き下ろすための長蛇の列ができました。

 

 

これによって、一部の国民が暴徒化して、暴動が多発し、死傷者も出ました。


それによって、以下の問題が発生しました。

  • ・より激しいインフレ
  • ・中間層の貧困化
  • ・治安の悪化

 

以上は過去の例ですが、同じような対策が取られる可能性があるので、

注意が必要です。

  

4、最後に

デフォルト宣言によって、暴動が起きる可能性があると、言いましたが、

これは時間の問題で、コロナによるロックダウンが続けば、

経済的な困窮に耐えきれず、デフォルトの前に一部の国民が暴徒化する可能性は

多いにあるでしょう。

 

この最悪の悪循環は想像したくありませんが、心の準備も必要でしょう。

  

 

以上です。

  

 

参考資料

https://www.jetro.go.jp/biznewstop/biznews/cs_america/ar/

https://www.nytimes.com/reuters/2020/04/22/world/americas/22reuters-argentina-debt.html?searchResultPosition=9

 

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