インドの最高裁判所は2018年9月6日、
同国刑法第377条の「同性同士の性行為を禁止する項目」を「違憲」とする判決を下しました。
（写真は、違憲判決を祝う人々）
刑法第377条は、イギリス植民地時代の1860年に制定されたもので、
「自然の摂理に反する肉体的な交わり」を禁止し、10年以下の懲役を科します。
今までは、同性間の性行為が、「自然の摂理に反する肉体的な交わり」として、
違法であるとされてきました。
実際には、377条違反による処罰はほとんどされてきませんでしたが、
性について保守的なインドでは、
LGBTの人たちに対する偏見や差別が、依然として根強く存在していました。
しかし今回、正式に違憲判決が出たことで、
LGBTは堂々と自由に恋愛ができることになりました。
しかも、これは最終判決なので、これ以上判決が覆ることはありません。
ヒンドゥー原理主義にたち戻るような保守的な動きが多かった中で、
良いニュースと言えます。
（写真は、インドのLGBTQたち）
ここで、基本的なおさらいですが、
「LGBT」とは、
「L」 Lesbian（レズビアン）
（意味）女性の同性愛者
「G」Gay（ゲイ）
（意味）男性の同性愛者
「B」Bisexual（バイセクシャル）
（意味）両性愛者
「T」Transgender（トランスジェンダー）
（意味）身体の性と心の性が一致しないが、外科的手術は望まない、
つまり心と身体の性別を一致させたいとは考えていない人
の頭文字をとって、つけられた略称です。
日本でもよくこの言葉を見かけるようになりました。
（写真は、違憲判決を受けて、喜ぶ人々）
しかし、今回のニュースを良く見ると、
「LGBT」の後に「Q」が加わり、「LGBTQ」という言葉が使われているのを目にします。
＜SC decriminalises homosexuality, says history owes LGBTQ community an apology＞
https://www.thehindu.com/news/national/sc-de-criminalises-homosexuality-says-history-owes-lgbtq-community-an-apology/article24881549.ece
「この”Q”は、どういう意味なのか？」
気になったので、調べてみました。
この「Q」には、２種類の意味（可能性）が存在します。
１、「 Queer」という単語の頭文字
元々「風変わりな」「奇妙な」「不思議な」という意味の言葉でしたが、
そこから派生して、今では「LGBT」全体やその周辺を指す、広義な言葉として、
敢えて使われるようになりました。
２、「Questioning」という単語の頭文字
意訳すれば、「自問中」ということでしょうか。
自分がどういう性を持つ人間なのか、まだ自信を持って答えられない人たちを指します。
社会が多様化しているのに伴い、性の多様化も進んでいるのは、
至極自然なことでしょう。
インドも、今回の判決は確実な前進ではありますが、
同性婚はまだ認められておらず、依然として課題はたくさんあります。
因みに、「世界各国ではどうなっているか」調べたところ、
「the International Lesbian, Gay, Bisexual, Trans and Intersex Association (ILGA)」の
2017年の調査によると、
「72カ国・地域にて、同性同士が関係を持つことが、犯罪」とされており、
「8カ国では、同性愛が死刑となる可能性がある」ことが明らかになりました。
それらの多くは、アフリカ、中東や南アジアのようです。
今回のニュースがきっかけとなって、
他の国・地域でも、良い動きが出てくることを期待してます。
＜参考文献＞
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