この度、「Hiroshi&Kyoko」のHiroshi先生にインタビューする、
貴重な機会を頂きました。
テーマは、
「2019年タンゴ世界選手権を振り返る!」
です。
Hiroshi&Kyoko先生は、2009年に世界チャンピオンになる前から、
世界選手権のある8月に、毎年アルゼンチンに来ています。
彼らは自分たちの世界観を築き上げ、
洗練された踊りで、世界中の人々を魅了し続けています。
今回は、このテーマに関するインタビューを紹介させていただきます。
Hiroshi先生、ありがとうございました。
(以下、インタビュー始)
<ピスタ部門>
今年も審査に関して、色んな議論がありましたが、
審査の結果に関して、文句はありません。
日本にいて、世界選手権を見に来たことがない、
もしくは、世界選手権に参加したことがない日本人には
わからないかもしれませんが、
ファイナリストになっただけで、泣き喜ぶ人たちが大勢います。
それだけファイナリストの壁は厚いということです。
ゆえに、今回のファイナリスト全員に、拍手を送りたいと
思います。
また、予選から見ていて、「こいつらはすごい」と目をつけていたペアが、
決勝でも、とても良い成績を残していたので、
自分の見る目は間違っていないとも思いました。
<エセナリオ部門>
色んな見方はありますが、
タンゴっぽさを重視するなら、今回のチャンピオン(*)で文句はありません。
(* Fernando Rodriguez, Estefania Gomezというペア)
しかし、スペクタクルとしてのタンゴを考慮するなら、
5位のコロンビアのペア(*)がよかったでしょう。
(* Valentin Arias, Diana Francoというペア)
観客はタンゴを知らない人もたくさんいるので、
何十年もタンゴに携わっている審査員との評価がずれるのは
仕方ないことです。
但し、個人的な感想を述べるとすれば、
タンゴっぽさを重視したペアの中で、よだれが出るほど、
すごいと思わせた踊りがなかったので、
タンゴらしいとは言えないかもしれない(コロンビアらしい)けど、
会場を湧かせたという意味で、コロンビアのペアに、
一番の拍手をあげたいと思いました。
<日本のダンサー>
今年(2019年)は特に、
日本人がいない、日本人が来ない、日本人が挑戦しないことに、
切なさや悲しさを感じました。
一般的に日本人は喧嘩が得意じゃなくて、
周りの空気を読んで、何事も穏便に済ます文化があります。
その文化が、日本のタンゴ界によい影響を与えていないと思い、
今回に限って、世界選手権終了直後に、facebookに自分のコメントを投稿しました。
日本の中堅のダンサーには、
「なんのためにプロをやっているの?」と問いたいです。
日本には、自分のレベルを相対的に確認できる環境が整っておらず、
自分を磨く事や、成長する事が難しい場面があります。
世界選手権は、それを実感できる素晴らしい機会ですが、
その参加に前向きじゃない雰囲気にイライラしていました。
観客や生徒の目を気にしながら(離れていかないように気配りしながら)、
ダンスというサービス業を行うのではなく、
ダンスで、観客や生徒を魅了し、圧倒させるのが、
本来のダンサーの仕事です。
自分の道を探求していく、
そこに魅了される人たちがその人たちについていき、
そこに個性が生まれます。
タンゴでは、それが特に重要です。
正直、アジア選手権を見ていると、みんな同じにしか見えません。
つまり、個性が見えてこないのです。
現在では、わざわざアルゼンチンまで行かなくても、
海外の有名なフェステイバルに行かなくても、
有名なダンサーは日本にたくさんやってくるし、
インターネット上で、有名なダンサーの動画が見られて、
簡単に色んな情報が入手できる時代になってしまいました。
そのため、自分で何かを作り出すことをほとんどしなくなったので、
みんな、同じことやってるように見えてしまいます。
そこに気づく人が出てこないと、日本はおろか、世界のタンゴは
今後、停滞してしまうかもしれません。
目指したい師匠がいて、弟子として、それについていく
丸コピーするぐらいの気概があっていいでしょう。
(むしろ、全部コピーできるのは、相当なレベル)
そして、意外とそこに個性が生まれることがあります。
しかし、その覚悟がなく、いろんなものを少しずつ味見するだけ、
という意識ではいけません。
どんな風に踊っていきたい、どのように何を表現していきたいか、
を決める必要があります。
それができて、はじめて一人前と言えるでしょう。
そのためにも、積極的に外に出て行き、
自分の踊りを、客観的に評価してもらい、
他のダンサーを含めて、順位をつけてもらうと、
自分自身の踊りに対する見方が変わります。
そのチャンスが、世界選手権にはあります。
以上が、インタビューの前半です。
Hiroshi先生のインタビューの後半は、次回に続きます。
お楽しみに!!!
以上です。
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