タンゴに関する悲しいニュースです。
コロナの影響で、アルゼンチン・ブエノスアイレスにある、有名なタンゴ学校「DNI Tango」が閉鎖を発表しました。
ロックダウン後に、オンラインに移行していましたが、上手くいかなかったのだろうと思います。
Dana Jazmin Frigoliというダンサーが、Pablo Villarrazaという前夫と一緒に始めたタンゴ学校で、2020年には15周年が祝われました。途中でPabloが離れた後、Danaが一人でタンゴ学校をマネジメントしていました。DNI Tango Storeという独自のドレス・靴ブランドも展開していました。
敢えて特徴を挙げるなら、他のタンゴ学校よりも「タンゴ・ヌエヴォ」「アブラソ・アビエルト(オープンなアブラソ)」要素が強めです。彼らのダンスを見ても分かるように、伝統的なサロン・タンゴとは、少し違います。そのため、ヨーロッパを中心にたくさんの外国人がレッスンを受けに来ていました。それに対応するため、DNIの先生は英語がペラペラです。
当方のブログでも以前に、少し紹介したことがあります。
アルゼンチンで新型コロナの感染者が出始めた後、3月10日に、アルゼンチンのタンゴ関係の組織が集まった会議で、10日から2週間、タンゴ関連イベントを全て中止にすることが決定し、その後、アルゼンチン政府が3月20日からのロックダウンを発表しました。そのため、現時点(2020年6月10日)まで、タンゴのイベントが一切キャンセルとなり、オンラインを使った代替策で、この状態をしのぐしかありません。
アルゼンチンは、現在世界一長いロックダウンを継続しています。問題なのは、ロックダウンしているのに、一日あたりの新規感染者数が、増え続けていることです。ちなみに、6月9日は、1,141名増加し、アルゼンチンの一日の新規感染者数としては過去最多でした。
アルゼンチン政府は、デフォルトしていることからわかるように、資金がないので、ロックダウンによる補償が十分に行えません。国民は、最初から政府を当てにしていないので、自分たちの力で凌ぐことに必死です。
問題なのは、アジアやヨーロッパでは少しずつ普通の生活に戻っている一方で、中南米はまだ時間がかかりそうなため、再開の時間差による経済の影響は大きいでしょう。外需に頼っているタンゴはなおさらです。
タンゴを例に、具体的に説明してみると、アルゼンチンでは、通常のレッスンができず、オンラインでしか稼げないが、アジアやヨーロッパで、通常のレッスンが始まってくると、世界中でオンラインの需要が減ってしまい、アルゼンチンでタンゴを仕事としている人たちが、非常に苦しい状況になるということです。
これは、内需をないがしろにして、外に出ていったアルゼンチン人や、内需を軽視して、対策を取ってこなかったアルゼンチン政府のツケがまわってきてるのだと思います。
そして特に、タンゴ学校は、たくさんの先生を抱えているので、彼らの雇用を維持していくのは、非常に厳しいと言わざるを得ません。もはや、経済活動再開が先か、手持ち資金がなくなるのが先か、の競争となっていきます。
ここでは、タンゲリア(旅行客相手のタンゴショー)で踊っていたダンサーや、オンラインについていけないダンサー、無名のダンサーなどは、あっという間に淘汰されてきます。そして、わずかの超有名なダンサーしか、残らなくなるでしょう。非常に過酷な試練となりそうです。
個人的には、インドのように、経済活動を優先する、大きな舵取りを取る必要があるでしょう。それには、大統領の強い意志と決断が必要ですが、それを現大統領に期待できるか、甚だ疑問です。
幾度もデフォルトや経済危機などを乗り越えてきた(?)アルゼンチン国民には、今回のパンデミックも問題ないかもしれませんが、前代未聞の次元に突入しつつあります。
そうなっていくと、「タンゴ」というものを守るために、経済再開した先発組の世界中の人が協力して、アルゼンチンのタンゴを守っていく必要が出てくると思います。
以上です。
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