タンゴ界では、悲しい出来事が続いてしまう。。。
今回、マリオ・モラレス(Mario Morales)という有名なコレオグラファーが経営するタンゴ学校(Estudio Mario Moreles)が閉まるというメッセージを、マリオ自身が発表していました。よく通っていた時期もあり、思入れ深いだけに、非常に残念です。
折角なので、今回は、少し彼のスタジオを紹介したいと思います。
まず、マリオ・モラレス氏(以下、マリオ)について、紹介します。
日本にもよく来ているので、ご存知の方も多いはずですが、マリオはアルゼンチン・メンドーサ出身で、数々の世界チャンピオン(ステージ部門)のコレオグラフィーを手がけて、自身のスタジオを開いていました。
月曜から土曜まで、夕方に毎日グループレッスンがあり、日中はプライベートレッスンや、練習用に、スタジオが開かれていました。
こちらが彼の学校のfacebook pageです。
今ではタンゴの中心が、アルマグロ(Almagro)地区やパレルモ(Palermo)地区となっていますが、スタジオは古き良きサンテルモ(San Telmo)地区にあり、いつも自転車でレッスンに行く時に、サンテルモ特有の石畳に悩まされたことを覚えています。
住所は「Defensa 682」で、二階に上がって、3つのルームを持つスタジオでした。スタジオには、彼を紹介した記事やトロフィーなどが飾られており、彼が執筆した本も売られていました。
彼は現在、2012年の世界チャンピオン(ステージ部門)のマリア(当時のダンスパートナーはクリスティアン・ソーサ)と結婚しており、子供もいます。ちなみに彼らがチャンピオンになった時のコレオグラフィーも彼が作っています。
ちなみに、彼は再婚で、前妻はC・Sさんで実は彼女も世界チャンピオンです。いや、タンゴは色々あります(笑)。
最近では、マリオはアレハンドラ・グッティー(Alejandra Gutty)がプロデュースした、シアターで上演されたタンゴのショー「Calle de Tango」のコレオグラフィーも担当していたり、12月に毎年行われる「PV(Pelando Variacion)」の審査員を務めたりと、いつも忙しいです。
彼の良いところは、彼のスタジオのグループレッスンで、彼のクラスを受けられることでした。彼は二つのクラス、「音楽性(Musicalidad)」のクラスと「ステージタンゴ(Tango Escenario)」のクラスを担当していました。折角なので、それぞれのクラスを少し紹介したいと思います。
■「音楽性(Musicalidad)」のクラス
実際に行ったのは一回だけでしたが、その回のクラスはとても印象的でした。人数は20人ぐらいいて、テーマは「タンゴの色んなスタイルを踊ってみる」でした。彼はタンゴの名前の由来から始まり、どこでどういうスタイルが生み出されていったか、という説明をしながら、実際に生徒に踊らせてみせていました。
彼が紹介していたスタイルは9つ。と言っても、明確な線引きがある訳でもないので、ざっくりと話していました。(全て聞き取れなかったので、一部不明な点があること、ご了承ください)
1、Salon:初期のタンゴ。その名の通り社交の場で踊られていた
2、cafferata:カフェラタ地域(石畳が多い)で踊られていた
3、Parque Patricios:パルケ・パトリシオス地区で踊られていた
4、Centro:セントロの狭い場所で踊られていた
5、Milonguero:ミロンガ会場で踊られていた
6、Villa Urquiza:ヴィジャ・ウルキサ地区で踊られていた
7、Orillero:オリジェーロ・スタイル
8、Canyenge:カンジェンゲ・スタイル
9、Tango Nuevo:タンゴ・ヌエヴォ
例えば、「1」では歩きがメインだったので、歩きだけしてみたり、「2」は石畳の上だったので、ピヴォットを使わずに踊ったり、「3」はサカーダやトラスピエが流行ったので、それを使って踊ってみたり、「4」では狭い場所だったので、その場で細かく踊ってみたり、、、など、時代と共に踊りが変わっていったのを実感しながら、実際に踊っていきました。
このクラスはなかなか面白かったです。そして、マリオは生徒との双方向的なコミュニケーションを重要視していたので、よく生徒に質問を投げかけていました。生徒も熱心に回答して、議論が白熱していました。
■「ステージタンゴ(Tango Escenario)」のクラス
彼のレッスンでは、まず曲を3曲ぐらい選んで、どれで踊りたいか、生徒に選ばせます。コテコテのステージタンゴに使われそうな曲から、タンゴ・ヌエヴォ、そして、タンゴと関係のない曲まで、色んな曲を選びます。多数決で決まった曲に即興でコレオグラフィーを作っていきます。これはさすがだと思いました。時には椅子やハンカチーフを使うこともありました。
自分が日本人だとわかると、マリオは片言の日本語で気さくに話しかけてきてくれました。
マリオのスタジオには、有名な先生がたくさん所属しており、彼らのレッスンも何回も受けました。グループレッスン代もそれほど高くなく、パッケージで4クラス分や8クラス分をまとめて購入することもできました。
次回ブエノスアイレスに行った時に、彼のスタジオに行くチャンスがないことを想像すると、寂しい限りです。彼は違う形で、今後もタンゴ界で活躍してくれることを期待しています。
ロックダウンが続き、経済活動ができないタンゴ界は、依然として厳しい状況が続いており、DNIのスタジオに続いて、マリオの学校が閉鎖を発表し、有名なタンゴの学校やミロンガ会場、タンゲリアがどんどん閉鎖してしまいそうで、とても心配です。
以上です。
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