今回は、緊急事態宣言が解除(2020年5月25日)され、東京アラートが解除(2020年6月19日)された「2020年7月以降、どのようにアルゼンチンタンゴと向き合っていくべきか」について自分の意見を述べてみます。日本のマクロ的な流れから説明して、実際のタンゴの場面でどうすべきか、述べていきます。
1、日本の現状
本日は七夕(7月7日)です。緊急事態宣言の解除が一ヶ月以上も前だったということは、誰もが信じられないかもしれません。もちろんその後に「東京アラート」というよく分からないものが出てきたので、おそらく感覚的には、「東京アラート」が解除された、6月19日が、一つの転換点だと考えるのが、現実的でしょう。
ここで、先に結論を述べます。
「マスコミや政府が、毎日の感染者数の報告を行う限り、今のような状態は一生続いてしまう」
別の言い方をすると、
「今の状態以上に状況が大きく改善することがないことを国民に理解させるためには、マスコミや政府が、毎日の感染者数の報告を行ってはならない」
これだけ、マスコミが報道しているので、みなさんもコロナウイルスについてある程度の知識を持っているはずです。しかし、毎日「専門家」と呼ばれる人たちが、自分の言いたいことを言っているので、コロナウイルスに関して、未だにわかっていない部分と、わかっている部分がありますが、我々一人一人は、「事実」と「意見や主張」を分けて、判断していかなければなりません。
「では、何が事実なのか?」
「この新型コロナウイルスは消滅しないこと」
これはワクチンが開発されようが、されまいが、関係ありません。ワクチンでウイルスが消滅することはありません。現に、2009年に出てきた「新型インフルエンザウイルス」は、まだこの世の中に存在しています。感染者もいます。もちろん、ワクチンがあるにも関わらずです。
つまり、国として、人として生きていくために、経済活動を続けていく限り、
「今の状態が、一生続くでしょう」
だって、ウイルスが消滅しないからです。現に今でも新型インフルエンザウイルスに感染している人はいます。つまり、新型コロナウイルスと共生していく、ということです。まだ、大半の人は、本当の意味での「共生」を理解できていないのでしょう。
マスコミや政府が、国民に安心感を与えるためと思って行っている、日々の感染者数の報告が、国民に、「将来、感染者数がゼロになる」という期待をどこかで与えてしまっています。これは、先ほど述べた「今の状態が一生続くこと」を早く広く国民に認識させることを、著しく阻害しています。
国の将来を考えた、本当のリーダーであれば、一刻も早く、感染者数報告を辞めるべきです。それが、長期的に見て、国の復興に繋がります。
しかし、現時点で、そんな考えを持ち、実行しようとする為政者は誰もいません。残念ですが、これが今の日本の現状でしょう。
2、タンゴの現状
6月から少しずつ、オンラインからオフライン(対面)のもの移行しています。最初は、いくつかのスタジオから、様子を見ながらで、人数を制限したレッスンを始めています。7月からは6月よりも、多くのスタジオでレッスンが活発になっていますが、まだ一部のスタジオや先生は活動を自粛していたり、プラクティカやミロンガなどはまだ完全な形で行われていません。
一方で、友人の範囲などの少人数では、プラクティカやミロンガは、行われています。これは、パブリックなイベントではないので、知っている人もいれば、知らない人もいます。知っていても、行かない人もいます。
様子を見ながら、8月からも多くのイベントが再開していくはずです。しかし、国民が「感染者数」に敏感である限り、タンゴ関係者も、日々の感染者数で、無駄に一喜一憂させられるでしょう。地方に住んでいると、東京から戻ったというだけで、「感染者扱い」です。地方の保守的なスタンスは、理解できるものの、呆れて何も言えません。
3、タンゴの将来
「1、日本の現状」を考えると、しばらく今の状態がずっと続いていくでしょう。そして、それに連動してタンゴも動いていくのが現状です。ただし、冷静に考えるなら、今の現状が大きくは改善しないので、タンゴはコロナ前と同じ状態(タンゴの経済活動がうまく行っている状態)になるように、再開していく必要があると思います。
要するに、コロナウイルス対策と銘打って、ずっと人数を半減したりして、タンゴダンスとして経済が回らないなら、辞めるべきでしょう。また、コロナ対策で、人数や時間などの色んな制限をするにしても、最低限、スタジオなどの経営が維持できる範囲で進めていかないと、長期的に見て、現実的ではありません。もちろん、いきなりではなく、その過程で、段階的に戻していくというオンラインとオフラインのバランスも必要でしょう。
かつ、今は自粛して再開は様子見ながら、と言っていても、そのタイミングがいつなのか、不透明であり、おそらく政府が何か発表しない限り、この状態が続きますが、本当に政府が発表するかも定かではありません。あとは社会が自然と許容するのみなので、もっと時間が読めません。
つまり、政府の意見や政策を完全に信じて、それを鵜呑みにしている国民のゴマを摩り続けていれば、タンゴ業界の経済が破綻するでしょう。もしくは、オンラインのみに特化することもありですが、タンゴの性質上、やはり身体的な接触が求められるので、長期的に続けていくなら、何かいいアイデアが必要です。
今は補償などで、食いつないでいるかもしれませんが、慈善事業ではないので、冷静に現実的に考えていくべきです。
4、お願い
タンゴの経済活動を優先しているように、捉えられるかもしれませんが、感染症対策は、人の命を守るためにも、タンゴという文化を守るためにも、必ずすべきです。
しかし、それよりももっと重要なことがあります。
「今後、タンゴ関係で、感染者が発生したとしても、その人や組織を決して責めずに、寧ろ、同じ業界の人間として、助けていくこと」
です。
ここに、タンゴを守っていくためのエッセンスがつまっていると確信しています。(これを言うための前置きが長すぎました(笑))
もちろん、タンゴ関係で感染者が出ないに越したことはないですが、100%出ない保証はどこにもありません。むしろ、ウイルスはなくならないので、いつか必ず出るでしょう。
感染症対策を行っていて、感染者が出てしまったら、仕方ないのです。
「感染者が出たら、タンゴ全体に迷惑がかかる」という考え方は、悪くありませんが、それだけ考えて、タンゴの活動を止めていたら、たぶん一生タンゴを始められないでしょう。なぜなら、前述の通り、感染者がゼロになったり、ウイルスが消滅することはないからです。それよりも、「そうやって時間が経てばたつほど、タンゴという文化(具体的には、スタジオや先生)がなくなっていくことの方が深刻になります。」
現に、3ヶ月のロックダウン中で、補償をまともに受けられないアルゼンチンでは、DNIやEstudio Mario Moralesというブエノスアイレスにある、有名なタンゴ学校も、Auroraという、ブエノスアイレスの老舗ミロンガ会場も、潰れてしまいました。
潰れたものは戻ってきません。文化が死んだら、アイデンティティーという意味で、国が滅びます。
人ももちろん死んだら戻ってきませんが、人はいつか死にます。死ぬのが怖いなら、コロナよりもっと注意すべきものが腐るほどあります。
一部の過度にコロナを心配する人たちを責めません。なぜなら、彼らが悪いわけではなく、バイアスのかかった情報を流し続けた、マスコミが悪いからです。ただし、マスコミに汚染された一般国民の考え方を、普通に戻していくのは、非常に時間やエネルギーが必要なことです。しかし、誰かが言い続けたり、行動を起こし続けなければ、そういった人たちは物事の本質に気づきません。
おそらく数年後に、今回の一連の対策が評価されると思いますが、たとえ間違った対策だったとしてもそれを責めるのではなく、今後にどう生かしていくべきかを、みんなで考えていく方が生産的でしょう。その意味でも、今回の色んな反応は仕方ないと思っています。
残念ではありますが、ウイルスがなくなることはないので、コロナ前のように何も気にせずに、タンゴを踊れることは、今後ありません。しかし、タンゴもなくなることはないので、感染に対するエチケットを大前提に、これまで通りに、踊ることになっていくでしょう。
賛否両論あるかと思いますが、弊意見で、タンゴの新しい日常について、何か考えてもらえる機会になれば、幸いです。
以上です。
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