【アルゼンチン生活】アルゼンチン、中絶合法化への道ーカトリック色が強い国での葛藤 Vol. 280

アルゼンチンでは、中絶合法化への動きが、大きくなっています。

 

アルゼンチン人の約7割がカトリックと言われており、

残りの1割がプロテスタント、2割が無宗教なので、

キリスト教色が非常に強い国と言えます。

 

そんな中、アルゼンチンで新しい動きが起こっています。

 

下院に中絶を合法とする法案が提出され、

22時間の討議の後、

2018年6月14日の下院での投票結果は、

「賛成129票、反対125票、棄権1」

となり、法案が過半数を得て、可決されました。

 

法案の内容は、「妊娠14週以内」であれば、中絶を可能とするものです。

 

現行の法律では、

「レイプなどで強制的に妊娠させられた場合」

「母体への生命の危険がある場合」

というごく限られた条件以外は、中絶する選択がありませんでした。

 

これは、カトリックの教えでは、「人間は受精した瞬間から人間である」

つまり、受精卵も人間であるという考え方に基づいたものです。

 

その流れを受けているアルゼンチンにおいて、

今回の法案が下院で可決されたことは、

非常に大きな出来事です。

 

 

ちなみに、日本では、人工妊娠中絶は合法です。

日本産婦人科医会によると、

「妊娠11週までに行うことが望ましい」とされていますが、

「妊娠22週未満」であれば、合法的に中絶可能のようです。

 

さて、今回の中絶合法化に関して、

アルゼンチン国内で意見が真っ二つに分かれています。

 

まず、合法推進派のグループは、緑色のイメージカラーで、

独自のバンダナを作り、それを身につけて、意思表示をしています。

(写真は、合法推進派グループのロゴ)

 

「3月8日の国際女性デー」では、5月広場を25-30万人で埋め尽くした、

と言われいます。

(写真は、5月広場の前でデモを行う推進派の人たち)

 

一方、合法反対派のグループは、

「二つの命を守ろう」というキャッチフレーズで、合法化に反対しています。

(写真は、合法反対派グループのロゴ)

 

ローマ・カトリック教会は、中絶の合法化に強く反対しています。

政治に、カトリック教会は関係ないと思うかもしれませんが、

アルゼンチンでは、カトリック教会の影響がかなり大きいです。

 

現に、アルゼンチン出身の現フランシスコ法王は、

まだ議会で審議中の時に、書簡にて、「最も弱い者を守る」ようにと、

合法化に対して、反対の意をほのめかしています。

(写真は、アルゼンチン出身のフランシスコ法王)

 

カトリック教会の反対にも関わらず、ラテンアメリカで初めて、

「同性婚」が合法化されたのが、アルゼンチンでした。

 

中絶に関する法律は、下院は過半数を得て、通過しましたが、

保守色の強い上院で通過するかが、これからの焦点です。

 

上院まで可決されれば、アルゼンチンの歴史を変える出来事となるでしょう。

 

 

<参考文献>

http://www.jaog.or.jp/qa/confinement/ninsinshusanqa5/

http://news.livedoor.com/article/detail/14448589/

http://www.cooperativa.cl/noticias/site/artic/20180112/asocfile/20180112124342/f00006494_religion_chile_america_latina_2017.pdf

https://www.lanacion.com.ar/2143851-aborto-legalizacion-diputados-media-sancion-diarios-mundo-voto

 

以上です。

 

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